冷凍都市のくらし、アイツ姿くらまし

独立して5年経った個人事業主のあれこれ

とある奥さんから見た旦那の比較

①旦那は年収400万だけど毎日すごく大変そうに会社に通っていて帰宅も深夜続き

②旦那は年収1500万だけどほぼ仕事しなくていいので家で毎日ダラダラしている

 

さて、旦那の容姿・性格は全く同じだとして上記①・②のケースにおいて、それぞれ奥さんは旦那さんに対してどう思うのか。

 

①うちの旦那さん本当に毎日大変そう…土曜日はもっと早く起きて欲しいけど疲れてるから仕方ないよね…。いつもありがとう。

②なんで毎日ダラダラしてて何もしないわけ?私は家事してるのに。死ねばいいのに。

 

と。個人的には、こういう風になりやすいと思う。

 

①の旦那はどこにでもいる平凡なブラック勤めのサラリーマンで、毎日社会での荒波に揉まれ理不尽な思いに耐えながら何とか人並みの給料を稼いでいる。

 

②の旦那は天才的な頭脳の持ち主の自営業者で自宅で一日たった10分働けば年収1500万を稼ぐことができる。残った時間はスウェット姿でゲームしたり読したり主に家で好きに過ごしている。

 

奥さんの方は①②共に専業主婦で、

①の場合は毎月お小遣い1万円。

②の場合は毎月お小遣い20万円。

 

もし俺が奥さんだったら間違いなく②の旦那の方がいい。そんじょそこらの普通の家と違って専業主婦である自分は外に出てお金を一切稼がなくても毎月20万もの大金を確実に貰えて自由に使えるわけだし、食費や旅費だって①のケースに比べて相当潤沢に使える。気が向いたら出前とか余裕だし、月に好きなだけ外食にも行けるし、長期休みがくれば毎回どっかに旅行だ。自分は家事全般をしなければいけないが、それは①でも②でも同じなので、合理的に考えて①より②の方が絶対いい。人より遥かに短時間で金を稼ぎまくる②の旦那に対して感謝はすれど文句の一つなど浮かぶべくもない。

 

でも多分、おそらくだけどツイッターでよく旦那の文句を言っているような世間一般的な奥さん達は、①の旦那に対しては文句をあまり言わず、②の旦那に対しては物凄く文句を言うんじゃないかと思う。

 

例えば

 

・1日10分でそれだけ稼げるならなぜもっと努力をして1日数時間働いてその稼ぎをさらに倍にしようとしないのか

・家でダラダラしている暇があるなら少しは家事を手伝ってよ、買い物とか行ってよ

・私が家事で働いているのに目の前でダラダラされるとイライラするんだけど

・毎日スウェット姿でだらしない。身なりを整えて外に出て会社や部下の一つでも持って、少しは立派な姿を世間様や自分にアピールしたいと思わないのか?

 

とか、こういう類の。

 

これって日本で会社勤めをしたことがある人なら誰しもが似たようなことを経験したことがあるんじゃないかなと思うんだけど、「業務を徹底的に効率化して全く残業しない人」よりも「非効率的で毎日深夜まで残業している人」の方が周囲の評価が高くなりがちっていうのと一緒なんですよ。

 

業務を効率化している人は、朝9時から夕方18時までの間に200の仕事量をこなしてる。

一方、非効率的な人は、朝9時から夜22時までの間に100の仕事量をこなしている。

 

会社的に見たらまず間違いなく効率化している社員の方が凄く大事で、逆に非効率な社員の方は今すぐクビにしたいぐらいなわけだ。仕事遅いくせに無駄に残業代ばっか掠め取っていくただの無能なので。

 

でも不思議と非効率的な人の方が現場からは「頑張ってる」とか「偉い」とか評価されがちで、逆に効率的な人の方は「なぜ18時以降に他の人の仕事を自分から請け負おうとしないのか」とか「18時までに200終わるなら22時まで残って300やればよくない?」とか何故かよく分からない不満を抱かれたりするわけですね。

 

この場合だと、周囲の人達は自分の無能を棚に上げて、定時帰りの効率的な人に対して「ズルい」とか物凄くお門違いな感情を抱いてしまっているわけですね。実態としてはズルいどころか効率的な人は、文句言う人達の2.5倍ぐらい仕事をしているわけですが。

 

会社の外にいる第三者から見れば、むしろ、ダラダラ夜中まで毎日仕事してる癖に100しか仕事終わらせられない人の方がとんだ給料泥棒でズルいわけです。

 

もし定時帰りがそんなに羨ましいのなら、その周囲の人達も努力して全員が18時までに200の仕事を終えられるようになればいいだけの話なわけです。

 

なのに、彼らは自分は一切変わろうとせず、努力せず、効率的な人のことを許せないわけです。何が許せないかって?「余裕を持っていること」が。

 

これは沢山の外資企業とかに侵食されて現在は淘汰されつつある、日本に古くから根付く非常に悪しき習慣の一つだと思うんだけど、要は結果を度返しした根性論なわけですね。余裕を持つことなんて何人たりとも許さず、各々の間で実際の仕事量にどれだけ差が出ていようとも、そんな結果なんてどうでもよく、そんなことよりもぶっ倒れる限界まで頑張っているその姿・過程にこそ価値がある、という考え方なわけです。

 

で、話を戻すと。

 

②の旦那に対して文句を言う奥さんというのは、この根性論者と一緒なわけです。

 

他の人の何倍もの成果を極短い時間で出せるという「結果」よりも、血反吐吐きながら会社に通おうとする姿を何より重んじているわけですね。「過程」が大事なわけだから、そこさえ頑張っていれば結果が年収400万でもさほど気にならないわけです。

 

10分で1500万稼ぐ為の②の旦那の天才的な創意工夫や努力は、「ズルい」と判断され、挙句の果てには彼がソファでダラダラと過ごす定時上がりの余裕を持っていることが「許せなくなる」わけです。

 

結局、例として挙げたこの冒頭の旦那の場合、①にしろ②にしろ買い物に行ったりはしないわけです。①なら毎日帰宅するのは夜中0時過ぎなので店は閉まっているわけです。②の場合はダラダラしてるから行かないわけです。事実は同じなわけです。

 

「いや、②は出来るのにしないだけでしょ」と言いたくなることもあるかと思いますが、それは定時で帰る効率有能社員に対して「なぜ18時以降に他の人の仕事を自分から請け負おうとしないのか」と言うのと本質的には同じなわけです。

 

もし貴方が、他の人の数倍頭を使って、数倍努力して他の人の何倍もの仕事量を終えて定時に帰ろうとしたら「お前、他の人まだ働いてるじゃねーか、なに一人だけ帰ろうとしてんだよ、なんで他の人達助けてやんねーんだよ、このボケ!卑怯モンが!だからお前はいつまで経ってもダメなんだよな~」とか同期に言われたらどう思いますか?

 

「同期君の言う通りだ!ボクワタシってなんてクズ人間なんだ!」って思いますか?

 

そういうことです。

 

で、結局、何が言いたいかと言うと。

 

昭和的価値観に基づき「家事」と「稼ぐ」を夫婦それぞれに課された仕事だと捉えた場合、専業主婦の妻側は働く旦那に対して過程を重んずる昭和的根性論で評価しやすい気がするので、18時で会社上がれるのに22時まで残ってマインクラフトずっとやって忙しそうにしてる人になれば、そういう人にも難癖付けられずに済みますよって話です。

 

仮に10分で1500万稼げる人なら残り10時間くらいは毎日PCで必死に仕事する振りしてsteamやっとけば奥様からの評価は「大変なのに、いつもありがと(ハート)」と爆上がりなわけです。

 

でも、こういう話を明け透けに相手にしようとするのは絶対止めた方がいいです。定時上がりに対してブツブツ文句言ってるオッサンに「お前も俺ぐらい頑張って定時に上がれば?」って正論言って通じると思います?どう考えても激昂されるだけじゃないですか。

 

終わり。